クラシックギターの世界へようこそ!!このページに辿りついたあなたは、きっと何かのきっかけでクラシックギターに興味を持った方だと思います。
でも、周りにクラシックギターをやっている人も居ないし、情報も少なくてクラシックギターを始めたいけど、何からやって良いのか分からないよ、という人も多いのではないでしょうか?
そんな人のために、ギター歴20年そしてクラシックギター製作家でもある私が、たった3つのステップでギターの始め方を紹介していきます。
このページで紹介するステップに沿って進めていけば、簡単にクラシックギターを始めることが出来ますよ!そして、きっと楽しいギターライフが待っています!
ステップ1:ギターについて知ろう
はじめに、そもそもギターって何者なのか解説します。
ギターの種類や特徴、そしてクラシックギターの魅力も一緒に見ていきましょう。
ギターって何楽器?
ギターというのは撥弦(はつげん)楽器に分類されます。撥弦楽器とは、弦を弾いて音を出す楽器です。三味線も撥弦楽器ですね。
ギターの種類
音の出る仕組みという観点からは、ギターは大きく2種類に分類できます。
- アコースティックギター
- エレクトリックギター
アコースティックギター
アコースティックギターは、ボディーが空洞構造になっており、弦の振動が表板、横板、裏板へと伝わって共鳴することで音が出る仕組みになっています。使用される木材や設計等によって、音に個性が出てきます。生音ゆえの味わい深さがあると言えるでしょう。
音が出る仕組みから分類すると、クラシックギターとフォークギターはアコースティックギターに分類されます。
エレクトリックギター
エレクトリックギターは、アンプという音を増幅させる装置があって初めて音が出せる楽器です。弦の振動を電気信号に変えて、アンプで音を増幅させ、スピーカーから音が出るという仕組みになっています。
クラシックギターとフォークギターの違い
クラシックギターとフォークギターは同じアコースティックギターに分類されますが、使用する弦と演奏のスタイルに大きな違いがあります。
項目 | クラシックギター | フォークギター |
弦 | ナイロン弦 | スチール弦 |
演奏スタイル | 主にソロとして一人で演奏 (ギター同士のデュオや フルート等の楽器と一緒に演奏が可能) | 主に歌の伴奏 |
弾き方 | 爪 | ピック |
弦の違い
フォークギターはスチール弦を使うのに対して、クラシックギターはナイロン弦を使用します。
ナイロン弦の方が、優しく暖かみのある音色になります。
また、音量はフォークギターよりもクラシックギターの方が小さいです。
演奏スタイルの違い
フォークギターは、主に伴奏用としての役割を果たすことが多いです。弾き語りで使われるのはフォークギターの方ですね。
クラシックギターは、主にソロで弾くスタイルです。
また、ギター同士のデュオやフルートなどのギター以外の楽器と一緒に演奏することもできます。
弾き方の違い
フォークギターはピックで弦をはじきますが、クラシックギターは爪で弦をつま弾きます。わずかに爪を伸ばして弦にひっかけて弾きます。きれいな音を出すために、爪はヤスリなどで削って形を整えます。
クラシックギターの魅力
多彩で奥深い音色
クラシックギターの魅力は何といってもその音色だと思います。クラシックギターはナイロン弦を使用するため、優しく温かみのある音になります。しかし、単に優しい音だけが魅力ではありません。実は、明るい音色も備えています。つまり演奏者の技量で(もちろん楽器の良し悪しもありますが)、多彩で奥深い音の世界を楽しむことができるのです。
そして、アコースティックというシンプルな構造ゆえに、ギターから発せられる音の振動が深く心に響くのを感じることが出来きます。一音一音つま弾くクラシックギターだからこそ感じられる大きな魅力だと私は思っています。
もしお近くでコンサートがあれば、生のクラシックギターの音を聴きに行ってみることをおすすめします。CDでは伝わらない音色の魅力を感じることが出来るでしょう。
一人でも二人でも楽しめる
クラシックギターは主にソロで弾く楽器です。ベースからメロディまで同時に一人で演奏することが出来ます。
「ギターは小さなオーケストラである」と言われていたりもします(ベートーベンが言ったという説がありますが、定かではありません)
一人で自分の音と音楽を追求することが出来ますが、一方でギター同士のデュオや、フルートなど他の楽器と一緒に演奏をすることが出来ます。
ギター同士でデュオを組んで演奏するのは楽しいですし、素晴らしい曲も沢山あります。ギター以外の楽器と一緒の演奏することもクラシックギターの大きな魅力の一つでしょう。
クラシックギターの名曲11選
クラシックギターの名曲を11曲紹介します。個人的なおすすめも含めた11曲ですが、どこかで聞いた事のある曲も必ずあるはずです。
- 愛のロマンス
- カヴァティーナ/スタンリー・マイヤーズ
- ラグリマ/フランシスコ・タレガ
- アルハンブラの思い出/フランシスコ・タレガ
- 12の練習曲Op.6 – 第11番ホ短調/フェルナルド・ソル
- 5つのカタルーニャ民謡 聖母の御子/ミゲル・リョベート
- セビーリャ/イサーク・アルベニス
- 大聖堂/アグスティン・ピオ・バリオス
- 主よ、人の望みの喜びを/ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
- コンポステーラ組曲/フェデリコ・モンポウ
- Knowing/アンドリュー・ヨーク
もっと他の名曲も聞いてみたいという人には、「極上ギター特盛~定番クラシックギター名曲ベスト50」もおすすめです。名曲が50曲も入っています!
デュオなども含め、更に多くのクラシックギターの曲を聴いてみたい人には、Apple Music やSpotify等の音楽配信サービスがおすすめです。たいていのクラシックギターの曲は聴くことが出来ます。
まとめ
クラシックギターの魅力は、多彩で奥深い音色です。演奏のスタイルとしてはソロの曲が多く、一人で自分の音と音楽の世界を追求することが出来ます。
ギター同士デュオや、他の楽器と一緒に演奏することもできて、誰かと一緒に演奏する喜びも味わえるでしょう。
是非、コンサート等でクラシックギターの生の音を聴いてみてください。きっと奥深く多彩な音色に魅了されて、早くギターを始めたくなるはずです!
ステップ2:独学か教室かを決めよう
クラシックギターについて基本的なことが分かったところで、次に決めるのは独学か、教室に通うかです。それぞれのメリットとデメリットを確認して、自分に合った方を選びましょう!
初心者の人は、クラシックギターを楽しんで続けてもらうためにも、最初は教室に通うことをおすすめします。
独学
独学のメリット
まずレッスン代がかからないので、金銭的な負担は軽くなるでしょう。初心者のための教本などもあるので、教本を買って独学でギターを始めることも可能です。DVD付の教本であれば、初心者の人にもわかりやすくて良いでしょう。YouTubeの動画なども参考になります。とにかくすぐギター初めてみたいという人には、独学からギターを始めるのも良いでしょう。
- 金銭的な負担が軽い
- 教本等を買って、すぐに始められる
独学のデメリット
独学の場合は、分からないことを自分で調べて解決しなければなりません。ギターの構え方や弾き方など、最初はちょっとしたことでも疑問が多く出てくるものです。そんな時に、アドバイスをくれる人がいないと、正しいかどうか確信が持てないまま練習を弾くことになります。間違ったまま自己流の練習を続けると、変な癖がついてしまう恐れもあります。
また、ギター仲間等が居なく、一人での練習になる場合には、上達のためのモチベーションを維持する工夫が必要になるでしょう。
- 分からないことは自分で調べて解決しないといけない
- 変な癖がついてしまう恐れがある
- モチベーションを維持するのが難しい
教室
教室メリット
まず基礎からしっかりと学ぶことができます。これはとても重要です。なぜなら、基礎がしっかりしていないと、その上に応用を積み上げていくのが難しくなるからです。
特に初心者の方は、よく分からないままに自己流の弾き方で変な癖がついてしまって、後から直すのに苦労する恐れがあります。先生が居れば、分からないことはすぐ質問して解決できますし、自分では気づかない点も正しくアドバイスをもらえます。そのようにして早く確実にレベルアップすることが出来るわけです。
レッスンであっても先生を前にして弾くのは緊張するものです。そのような場が定期的にあることで日々の練習にもメリハリが出るでしょう。また定期的に発表会等を行っている場合は、それを目標にモチベーションも維持できます。
発表会等を通じて、気の合う音楽仲間もできるかもしれませんね。(クラシックギターを選んでいるということは、価値観の似ている部分があるかもしれません)
- 基礎からしっかり学べる
- 正しいアドバイスで、早く確実にレベルアップできる
- 日々の練習にメリハリが出る
- 発表会を目標に、モチベーション維持ができる
- 音楽仲間が出来るかも!
教室のデメリット
独学に比べると費用がかかります。お住まいの近くに教室がないこともありますので、最寄りの教室までの移動に時間がかかる場合もあります。
もし近くに教室がなくても、オンラインでレッスンが出来る教室もあるので、是非探してみてください。
- レッスンの費用がかかる
- 近くに教室がない場合は移動に時間がかかる
まとめ
最初は教室でギターを習うことをお勧めします。なぜなら、分からないことが多い中で自分で正解を見つけながら練習するよりも、しっかりと基礎から教えてもらう方が正確に早く上達出来るからです。
例えば、独学の場合は分からないことが出てきたときに調べる時間が必要になります。一方で教室では、先生がその場で答えをくれますので、より多くの時間を練習に充てることが可能になります。また基礎を学んでしっかり土台を作っておけば、その後自分で考えながら練習を継続することも出来ます。
教室はモチベーション維持という観点からもおすすめします。なぜなら定期的なレッスンがあることで、練習にメリハリが出ますし、発表会等を目標にモチベーションも維持することが出来ます。教室の音楽仲間も出来て、さらに楽しくなるかもしれませんね。
是非、教室でギターを始めて、楽しみながら上達してほしいと思います。
ステップ3:【独学の方向け】教本と楽器を買おう
独学でギターを始める人向けにも良いスタートを切ってもらいたいので、どのような教本やギターを買えばよいのか解説していきます。
(教室でギターを始める方は、「ステップ3:【教室の方向け】体験レッスンを予約して行ってみよう」に進んでください)
教本を買おう
色々な教本がありますが、私はDVDが付属している教本をおすすめします。なぜなら、初心者の方にとっては、弾き方などをDVDの映像で確認できることは非常に参考になるからです。 また全頁カラーであれば見やすいので、日々のやる気を維持するのに役立つと思います。私が見た中でおすすめの教本を紹介します。
クラシックギターの教科書/ヤマハ出版
DVD&CD付きで前頁カラーです。楽器の構え方から、右手の弦のはじき方等解説があるので、初心者の方にはわかりやすいかと思います。またスマホ対応動画は演奏者目線(頭上)アングルとなっています。弦の交換や最低限のメンテナンス方法も書かれているので、この一冊を買っておけば、ギターを始めるには十分かと思います。
著者は、富川勝智さんです。スペインのホセ・ルイス・ゴンザレス氏に師事された方で、東京渋谷に「富川ギター教室」も主宰されています。
楽器を買おう
なるべくコストを抑えて早くギターを始めてみたいという人には、ギターと小物がセットになったものがおすすめです。ただし、ギターの表面板は単板を選びましょう。なぜなら表面板は音に大きく影響するからです。
単板に対して合板というものがありますが、これが表面板に使われているギターは、音が良くないのでおすすめしません。せっかくならある程度良い音でギターを始めましょう。5万円程度で表面板が単板のギターと小物のセットが買えます。
初心者向けのギターでしたら、表面板以外の裏板や横板は合板でも音にそこまで大きな影響はありません。
また弦長(スケール)にも種類があります。標準スケールの650mmを選ぶことをおすすめします。なぜかというと、銘器を含め多くのギターはこのスケールで作られているので、この弦長で慣れておけば、2本目に選べるギターの種類も多くなります。(逆に短いスケールだとかなり選択肢が狭まります)手の小さい人には640mmや630mmといった短いスケールのギターが弾きやすいかもしれませんが、上記の理由から650mmで慣れておくことをおすすめします。
- 表面板は単板を選ぼう!
- スケール650mmのギターを選ぼう。
表面板には、スプルース(松)もしくはシダー(杉)の2種類があります。下記のような特徴があるので、自分の音の好みで選んでみましょう。
- スプルース:はっきりとした澄んだ音
- シダー:暖かみのある音
例えばヤマハのCG192シリーズは、これからギターを始める人には値段と音のバランスが取れた良い選択肢になると思います。表面板はもちろん単板でスプルースとシダーの2種類があります。
ヤマハのウェブサイト「音のカタログ」から実際の音も聞けるので、参考になるかと思います。
まとめ
まずは早くギターを始めてみたい、という人はDVD付き教本と小物がセットになったギターを買って始めてみましょう。
表面板が単板のギターを選びましょう。表面板のスプルースかシダーは音の好みで選んでOK。
ステップ3:【教室の方向け】体験レッスンを予約して行ってみよう
教室に通ってギターを学びたい方向けに、教室の探し方からレッスンの種類まで解説していきます。まずは、体験レッスンを予約して、教室の雰囲気や先生の人柄等を確認しましょう。
教室の探し方
インターネットや専門誌の広告等からお住まいの近くの教室を探しましょう。
公益社団法人日本ギター連盟から探す
日本ギター連盟のホームページに、日本ギター連盟公認ギター教室一覧が掲載されています。お住まいの都道府県から教室を検索することが出来ます。
専門誌「現代ギター」で個人の教室を探す
クラシックギターの専門誌「現代ギター」に教室の広告が掲載されています。最新号でどんな教室があるか調べてみましょう。
自分の住んでいる近くの教室をインターネットのマップ上で検索する
インターネットで「クラシックギター教室 自分の住んでいる地域」等で検索してみましょう。近くにあれば、Google map 上に教室が表示されます。
楽器店の音楽教室
大手の楽器販売店が運営する音楽教室を見てみましょう。クラシックギター教室がない店舗もありますので、お住まいの地域の近くにあるか楽器店のホームページから確認してみましょう。
体験レッスンに行ってみよう
お住まいの近くの教室が見つかったら、無料の体験レッスンに予約して行ってみましょう。近くに複数の教室があれば、いくつか訪問してみることをおすすめします。どんな雰囲気か、どんな先生なのかを確認して、自分に合いそうな教室を選びましょう。
レッスンの種類には、個人レッスン、グループレッスンがあります。また最近では、オンラインでレッスンをしている教室も増えたので、遠方の方も確認してみましょう。それぞれのレッスンの特徴を見てみましょう。
個人レッスン
早く上達をしたい人は、個人レッスンがおすすめです。上達のスピードに合わせて、課題を与えてくれるでしょう。弾きたい曲があるという場合も、先生と相談しながらレッスンを進めることが出来るというメリットがあります。
グループレッスン
グループレッスンの場合は、他の生徒さんのレベルに左右される部分もあるので、どんどん練習して早く上達したいという人には不向きかもしれません。ただ、費用は個別レッスンよりも安いため、なるべくコストを抑えたい人には良いでしょう。
オンラインレッスン
最近は、オンラインでのレッスンをやっている教室も増えたので、近くに教室がない人でもオンランレッスンを検討してみましょう。
楽器はどんなのを買えばよいの?
体験レッスンの際は自分の楽器はなくて問題ないでしょう。教室に通うことが決まってから、先生にどんなギターを買えばよいか聞いてみると良いと思います。
私は、1本目からそれなりの楽器を購入することをおすすめします。なぜなら良い楽器を使えば、正しい音の出し方も習得しやすいからです。
例えば、表面板は単板であることが最低条件です。目安として10万円くらいからのものを買うといいでしょう。 私が高校生の時にクラシックギターを始めるために買ったギターは、MatsuokaのARANJUEZ(Model:710)で当時10万円でした。高校生にしてはかなり高価な楽器ですが、表面板は単板(シダー)で音量豊かで暖かみのあるいい音がしていました。当時の教室の先生は、何百万円もする名器(エルナンデス・イ・アグアド)をもっていましたが、その先生もいい音だねと褒めていました。20年ほどたった今でも問題なく良い音で弾けています。そう考えるとかなりコスパが高いですね。
また弦長(スケール)にも種類がありますが、標準スケールの650mmを選ぶことをおすすめします。なぜかというと、銘器を含め多くのギターはこのスケールで作られているので、この弦長で慣れておけば、2本目に選べるギターの種類も多くなります。(逆に短いスケールだとかなり選択肢が狭まります)手の小さい人には640mmや630mmといった短いスケールのギターが弾きやすいかもしれませんが、上記の理由から650mmで慣れておくことをおすすめします。
- 表面板が単板
- ギター単体で10万円程度~
- 教室の先生におすすめのギターを聞いてから決めても良い。
- スケール650mmのギターを選ぼう。
表面板には、スプルース(松)もしくはシダー(杉)の2種類があります。下記のような特徴があるので、自分の音の好みで選んでみましょう。
- スプルース:はっきりとした澄んだ音
- シダー:暖かみのある音
その他の必要な小物
ギター本体に加えて、最低限必要なものがあります。ギター購入時に一緒に購入しておくと便利です。
- ギターケース:楽器を衝撃から守るためにハードケースがおすすめです
- レインカバー:楽器ケースに被せて、雨の日の移動も安心です
- 足台:正しい姿勢で弾くためのマストアイテムです
- 譜面台:これも正しい姿勢で弾くためにおすすめします
- メトロノーム:正しいリズムで弾くことが上達の近道です
- チューナー:正確な調律が簡単に出来ます
- クロス:楽器についた汚れをふき取るために、1枚はもっておきましょう
- 爪ヤスリ:きれいな音色を出すには爪をきれいに整えることが重要です
まとめ
以上、ギターを始めるための3つのステップを紹介してきました。
早く上達をしたい人には個人レッスンがおすすめです。先生に教えてもらいたいけど、コストはなるべく抑えたいという人はグループレッスンも良いでしょう。近くに教室がない人でも、オンラインレッスンがあるので、検討してみてください。
教室を探したら、体験レッスンに行ってみましょう。分からないことや不安に思うことがあれば、是非先生に質問してみてください。ギターの先生もはじめは初心者だった訳ですから、これからギターを始める人には丁寧に説明したいと思うはずです。
ここまで来たら、あとはもう始めると決めるだけです。
行動の先に、きっと楽しいクラシックギターライフが待ってますよ!
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